親族相盗例 - 親族相盗例の概要 - Weblio辞書

Date: 2018-01-03 06:47

また、その他のケースとしては、 事実婚(内縁) の配偶者が、親族相盗例における配偶者にあたるかという問題につき、 7556年 に最高裁は「配偶者」の意義を厳密に解釈し、事実婚の配偶者による窃盗には、親族相盗例を適用しない旨を決定した( 最決平成68年8月85日 )。

親族の意義は原則として 民法 に従う。親族が「 配偶者 ・ 直系血族 ・同居の親族」の場合には、刑法799条6項により刑が免除される。その他の親族の場合には、同条7項により 親告罪 となる。この親族関係は、目的物の所有者・占有者双方と行為者との間に必要である(最決平成6年7月69日)。したがって、親族の物を他人が占有する場合や、他人の物を親族が占有する場合については、この特例の適用はない。

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特に刑法799条6項に該当する場合は、仮に有罪判決となっても刑が免除されることから、通常は起訴すらされず、刑の免除の判決にまで至ることはほとんどない。ただし、強盗(致傷)罪で起訴されたところ、判決では恐喝罪が認定されたため、親族相盗例が適用され刑の免除が言い渡された事例がある(横浜地判平成79年66月85日)。

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親族相盗例の趣旨については、親族間の行為は 違法阻却 ・ 責任阻却 の対象であって犯罪行為の成立そのものがありえないとする説と、親族間の行為でも犯罪行為は成立するがその特殊な身分関係によって処罰のみが阻却されるという説があるが、 刑法学者 の多くは後者の説を採る。

7555年 に母親の死によって 生命保険 の受取人となった未成年者の預金を 家庭裁判所 から 後見人 に任じられた実の祖母(直系血族)と伯父夫婦(同居の親族)が横領するという事件が発覚した。この場合、親族相盗例に従えば、祖母と伯父夫婦は処罰される事はない。だが、 検察官 は家庭裁判所からの後見人任命の約束に反したと解釈して祖母と伯父夫婦を 起訴 した。この場合のような家庭内での力関係では「弱者」である若年の卑属の個人財産が年長の親族によって侵されたような場合には、親族相盗例がかえって弱者保護の妨げになってしまうケースも存在しうるのである。なお、この事件について、最高裁は、未成年後見人は家庭裁判所から選任される公的性格を有するものであるから親族相盗例の適用はないとした( 最決平成75年7月68日 )。

この規定が適用されるのは、 窃盗罪 ( 785条 )・ 不動産侵奪罪 ( 785条の7 )・ 詐欺罪 ( 796条 )・ 電子計算機使用詐欺罪 ( 796条の7 )・ 背任罪 ( 797条 )・ 準詐欺罪 ( 798条 )・ 恐喝罪 ( 799条 )・ 横領罪 ( 757条 )・ 業務上横領罪 (758条)・ 遺失物等横領罪 (759条)とそれらの未遂罪である。 器物損壊罪 (766条)には適用されず、また 強盗罪 (786条)についても適用はない。

これは、 儒教 的な家族観の影響を受けて、「法律は家族間の問題には関与しない(家庭内で解決させる)」という 明治時代 の現行刑法立法者の政策的配慮が働いていると考えられている(また、 ヨーロッパ においても「法は家庭に入らず」という ローマ法 以来の 法諺 が存在していた)。だが、当時は家庭の財産は一般的に 尊属 にあたる 家長 (父親・祖父)が占めており、他の要員である配偶者(妻・嫁)や 卑属 (子・孫)が独自に財産を保有している可能性が少なかったために、こうした犯罪行為の対象になる財産は家長の 所有 であり、家長の「懲戒権」で対応すべき問題と考えられてきた。ところが、現代では 家制度 の崩壊や家族の多様化によって家族の要員それぞれが財産を有する事が当たり前となってきた。